本来子犬は60日間母犬の母乳を飲んで育つ必要があります。
でもペットショップには生後1ヶ月くらいの子がたくさんいますよね。
とすると、その前もっと早くから母犬から引き離されています。
離乳食が始まったばかり、足もべちょっと広がったまま、まだよちよち歩きのころです。
60日間たくさん母乳を飲んですくすく成長をすると同時に、母犬や同胎の兄弟との生活もとても重要です。
その間に兄弟喧嘩をしたり、母犬から指導をうけたりして力加減や噛み加減を覚えます。
お洋服の注文や相談で、お客様と電話でお話する機会がよくあります。
ともにイタグレ飼いですから、あんなことこんなことにおしゃべりが広がって長電話になることもしばしばです。
イタグレがはやりだしたここ3年くらいでしょうか、噛むことについてのお悩みがとても増えました。
古くからイタグレを飼っている方はブリーダーさんから迎え入れていることが多いと思います。
以前はペットショップにイタグレがいなかったからですが、ここ何年かでペットショップでも出会えるようになりました。
わたしが思うにですが、兄弟姉妹といろんな練習をしてきた子は飼い主を噛むことがなく、早くから母犬や兄弟と離れた子は勉強をする機会がないまま飼い主さんを悪気なく噛んでいるではと想像しています。
スイッチをぽんと押すように噛むのを止めさせるのは難しいですが、試してみたらいかがですかというのを一つご紹介します。
何か美味しいものを自分の手にこすりつけます。
そしたらきっと「むむ、いいにおいがする! なんかおいしいあじがする♪」と飼い主の手をぺろぺろなめるでしょう。
そしたらそこでほめちぎる、なめてくれてありがとう、なめてくれてうれしい! と連発します。
そのあとでフード粒のひとつでもあげてもいいかもしれません。
噛むよりなめると喜んでもらえる、いいこともあると覚えさせる式です。
ここで「自分の大好きな飼い主に喜んでもらえる行為」飼い主の笑顔=自分の幸せというのが重要なんですが、失礼ながら飼い主として認められてもいなければ、愛犬からそう好かれてもいないこともかなりあるはずです。
そんなこと言われたらショックかもしれませんが、人間界でも他者から認めてもらえるようになるとか、心通じる間柄になるというのは、そりゃもう大変なことですよね。
日々の行動の積み重ねがあってやっとのことですから、「こんにちは! わたしがママよ!」と言ったところで、言葉の通じない犬はなおさら「はいそうですか」とは思っちゃくれません。
パートナーとして認め合うのに2年かかっても遅いとは言わないと思います。
みんな迎え入れたその日からかわいくてかわいくて愛してやまない我が子だと思います。
でも愛してる愛してるかわいいかわいいと追い回しているだけではストーカーです。
愛犬がどうゆう特性がある犬種か、どうゆう性格であるか、どうゆう環境が適しているかなどをたくさん勉強することが飼い主の役目です。
本来その勉強は迎え入れる前にしておかなくてはなりませんが、たぶんしていない人がほとんどですよね。
動物愛護管理法という法律で、動物の所有者の責務として「その種類、習性などに応じて適正に飼育し、動物の健康と安全を保持するよう努めなくてはならない」という項目があり、正しい知識を持つよう勉強すべしと求められています。
犬にこうしろああしろ、あれするな、ダメダメ言うより前に、書物を読むなどの勉強もすること、自分が犬から飼い主だと思ってもらえるように努力するのが先というわけです。
初めて犬を飼う。
来た子犬も何も勉強していないし、飼い主も新米だしで、どう接したらいいのかわかりません。
えぇ、わたしもそうでした(笑)。
2頭目で「あぁ、わたしは何にもわかっていなかった」、3頭目で「わたしはぜんぜんまだまだだ」、4頭目で「4頭目でも初めて知ることがあるのか!」そんな感じです(笑)。
うちの4頭を見ていると、4頭の生活がちゃんと出来上がっていて、うまいことやってるな〜と思います。
犬は犬同士、やはり60日間母犬の元で生育するというのは意味があるのです。
それより前に迎える場合は、飼い主が母犬や兄弟のかわりにいろいろ教えなくてはならないから大変なのです。