イタグレ以外の犬種といっしょに飼っていらっしゃる方も多く、そうゆう方々からお揃い服のご相談をいただくことがよくあります。
できません、ダメですと言わないのがわたしのポリシーですから、もちろんイエスとお返事しています。
チワワ、ダックス、プードルなどは、ペットショップに行けばそりゃもうた〜〜〜くさんのお洋服が売っていますよね。
わたしたちイタグレ飼いからすると羨ましい限りです!
でも、他犬種のオーナー様の多くが「…でも、なんか合わないのよね、しっくりこないのよね」とおっしゃいます。
みなさん服(人間も犬も)はサイズと思っていらっしゃるでしょうが、まぁそれはだいたいの目安であって、体にしっくりくる服、合う服というのはパターン(ライン、カッティング)です。
A地点からB地点をつなぐ線は直線以外にも無限にありますよね。
例えば人間のズボン。
真後ろベルトライン腰の部分をA地点、脚と脚の真ん中股間のところをB地点とします。
そのA〜Bまでが繋がるライン=お尻の割れ目ですから、その線がカーブしているだろうことはみなさん想像できると思います。
人間のズボンの場合はそのカーブが命で、それで履きやすいズボンか否かが決まります。
お尻の割れ目に沿うカーブがもしお尻よりも角度がなければ、お尻の穴のあたりに食い込み、なんか気持ち悪いワ〜…ということになります。
適度なカーブを描けているパターンは、くるっとお尻を包み込む履き心地のよいズボンで、ヒップの形を美しく見せます。
これはウエスト28インチとか、ヒップ90センチとかそうゆうこととはまったく別のことです。
昨今の女性用ズボンはレギンスやパギンスなどと称される、ポリウレタン混紡のストレッチのピタピタパンツがほとんどですね。
テレビや雑誌などの、「ほーら!! こんなに伸びます! 伸縮性があって膝の屈伸も楽々!」といううたい文句をみなさんよくご存知のことでしょう。
どんな業界も日々進化しているので、確かに生地はストレッチが効いていてよく伸びて縮む(伸びきらずに戻る)素晴らしいものです。
これは繊維業界の努力の産物であります。
…だからでしょうか、それに甘んじてきちんとしたパターンを引ける技術者が減っているように感じます。
たいしたパターンでなくても生地が伸びればとりあえずは履けるズボンになっちゃうからかな。
きちっとしたジャケットのパターンを引ける人なんて、今の時代ほんどいないでしょうね。
いくら伸びる生地でウエストとヒップサイズを合わせてあったにしても、上記でいうところのA〜Bのラインが浅かったらお尻に食い込んで履いてらんない。
試着すると「おいおい、素人が作ったズボンかよっ!」と思うことがほとんどです。
ストレッチパンツの通販レビューを見ると、「後ろの生地が足りていない(背中心が下がってしまう)」という書き込みが多いですね。
確かにおへそ側より背中側の方がウエストラインは上がっているのが基本ですが、それだけではなくラインも重要なのです。
もしちょっと手直しができるのであれば、ほんの5ミリカーブを深くくり直すだけで履きやすいズボンに早変わりしますヨ。
想像しやすそうなお尻のカーブを例にとりましたが、犬の服だって同じことです。
人間も犬も体は立体なのですから、机の上で平面のパターンをひけども、立体的に作り上げなければ体に合うわけありません。
人間の服のクオリティーがこれだけ低下しているのだから、犬の服なんて合わなくて当然かもしれません。
超立体的な胸ぼーん! ウエストきゅっっ! のイタグレと比べたら、チワワやプードルは確かにメリハリの無い体でしょ。
だからって生き物なんだから立体なんですよ。
ぺたん、ぺたんと綺麗簡単に平面的にたためる服が体に合うわけありません。
ippukuのオーダー服は首と胸と背の寸法をうかがってご用意しています。
その間をつなぐラインを決めているのはわたしです。
3カ所の寸法を合わせるなんてことは当たり前で、問題はどう体に沿わせるかなのです。
脚を前後にびよーんとしてもついてきて、きちっと4本脚でたってもついてきて。
わたしがよく言うところの、目指すは一枚脱皮したようは服というのはソレなのです。
人間は自分の意思で気に入らない服を着ないことができますが、犬さんはそれができません。
オーナー様はサイズが合うか合わないかの心配しかなさらなくて当たり前。
わたしも同じそのレベルではダメなんです。
その上の、サイズなんかではなく、くるっと体を包み込むストレスのない服を着せてあげるのがわたしの仕事です。
寸法だけでなく体重を聞くのは体型をつかみたいからです。
同じ寸法なのに1キロ近く体重が違うこともあるんですね。
太めだったらおマタに食い込まないようにしっぽの部分のくりを少し深くするとか、全体をまぁるくしあげるとかそうゆうことをしています。
サイズを合わせるだけのオーダーメイドではないつもりです。
犬の服なんてちゃちゃっと簡単なんでしょ、楽な商売だねというようなことを言われてカチンとくることがあります。
犬を大事にしているとおっしゃりつつ、犬の服なんてとおっしゃるのは矛盾していますよねぇ。
あのですね、人間の服より犬の服の方が難しいですよ! 人間の服のことを知らなかったら犬の服には携われません。
犬さんをなめたらあかんぜよ、です。
ふー。
イタグレ以外のお客様の声と、通販のレギパンが買ってもかっても合わず(沿わず)「ったく、わかってないな」ばかりなのをかけて書いてみました。
ちょっと暑苦しいですね、すみません。