一年いろいろありましたが、ドッカーンな大事故はなくまずまずだったように思います
一番心に残った出来事は、就職です
ずっと書くことを控えていましたが、実は去年から22歳の引きこもり男子を預かっていました
小学校4年生ころから学校に行かなくなりはじめ、アルバイトもせずにずっと家にいたそうです
親御さんに頼まれて本人をなんとか言いくるめ、去年の秋からバイトに来させていました
電車にも乗れず、ハサミを使ったこともなく(歯をちょきちょきすることを知らなかった)、他人と会話することもできず、ほんとにほんとに何もできませんでした
頭が悪いわけではなく、知らないだけです
何年も部屋から出たことがなければ、何も知らない、何もできなくて当然なのですが、その年齢になれば、親や周囲は働け、働けと言います
でも働けるわけがありません
わたしは引きこもり=だらしない、ものぐさ、グズと思っていましたが、彼に会ってすぐそうではないことに気づきました
少なくとも彼は、彼は学校にも行きたかったろうし、アルバイトもしたかったはずなのです
でも、何も知らず、何も持たない彼はドアから外に出ることは恐怖だったのでしょう
幼稚園児に教えるようにいろんなことを教えました
少しずつ声を発する練習をし、電車の乗り方を教え、買い物をさせ、何時間も坊さんの説法のようにただただ話を聞かせました
何も持たない彼は怖いばかりで自信がありません
これも当然です
何もしていないのですから、自信だって身に付くわけないのです
できそうなことをさせ、やればできる、やればできただろうと洗脳し続けました
メールを送り、手紙も持たせ、ひたすら自信をつけさせ続けました
そして、少しクスッと笑えるようになった今年のまだ寒い春先です
4月の第一週目が終わったときに、
おまえと同じ年齢の子は大学を卒業して働きだしたところだ
これでまたおまえはみんなから遅れをとったんだぞ
働き始める年に働かなかったら履歴書に空白ができる
それが怖くてまたおまえは逃げ出すだろう
何回同じことをしてきた?
また今までと同じことを繰り返すのか?
取り返しがつくのは今しかない
つべこべ言わず、何も考えず、いいから行けっ! 行っちまえっ!
これがきいたのか、親御さんの関係の会社に遊びに行かせることに成功しました
顔合わせについて行ってやって、明日行ってみます、明日も行ってみます、明日も行きます…ほんとに幼稚園のようです(^^)
そして彼は8ヶ月間も朝4時に起きて仕事に行っています!
最初は朝メールをしてやって、駅についたころでメールをしてやって、何かあったらすぐに行ってやるから何も心配するなとメールを送りました
それを少しずつフェードアウトして、今ではコンバンワ〜っすとか生意気なことをいいやがる小僧になりました
なんと教習所にも通い始めました
引きこもりのくせに生意気なんだよっ! 笑
やはりその年々で失敗したりヤンチャしたりいろんな通過点を経ないと大人にはなれません
一人部屋にいたまま何もしてこなかった彼に、4月から猛スピードの人生が始まったところです
来年は彼にオンナができることを期待しています
まわりの大人たちはみんな楽しみにそれを待っています
彼は真面目なので仕事を続けていますが、働く意味はまだ持っていません
がむしゃらに働いてデート代を捻出しなければなりませんから、好きな女の子ができたら何倍ものパワーが出ます
意味も無く働くのは辛いばかり
彼の人生に彩りを添えてくれるかわいい彼女ができることを楽しみにしています
これがわたしの今年一番の嬉しい出来事でした