ちょっとセンシティブな話題です。
ペットショップから子犬を迎える、迎えたという方からご相談の電話をいただくことがあります。
服屋なんですけどね、詳しそうなのでという見ず知らずの人からの問い合せが多いです。
けっこう長電話になりますが、その場でお買い物いただくことはないので無料です。
たとえば、予約した子犬が病気になったから他の犬に変更した方がいいかとか、皮膚病の子犬を買っても大丈夫かとか、ネットで買った犬の脚関節が外れていたとか。
誰でもご存知のペットショップだったりするので、まさか間違いなんてありませんよね? と確認したくなるみたいです。
それかもう答えは決まっていて、誰かに背中を押してもらいたいのでしょうね。
先日は写真で買った子犬の尻尾が折れていたという電話でした(ほんとに不思議ですが、これまた有名巨大店です)。
写真を拝見したところなかなかの状態ですが、おかあさんのお腹の中から曲がっていたと言われたそうです。
わたしはっきり言いましたね。
考えが甘いんだって。
「おかあさんそれは不良品ですよ。物を買って壊れていたら交換してもらうか、もしくは返品返金してもらいますよね。それと同じことですよ。プロの意見としたら返品交換をおすすめします。
…でもね、おかあさん。それで他の子に取り替えてもらったとしましょうよ。そうゆうことをするとね、あの時の子はどうしているだろう、幸せに暮らしているだろうか、それとも殺されてしまったのだろうかと、おかあさんは一生さいなまれ続けることになります。だから目の前にいるその子を大切に飼うんです。しっぽが折れていたって命に関係ないし、もし断尾して短くなっても犬社会はイジメもありません。目に見えない内蔵疾患があっても不思議じゃないですよ。それでも今後20年近く覚悟してその子の一生に責任を持つんです。生き物を迎えるってそうゆうことで、おかあさんはそれがもう始まっているんです。何しろ痛みを取り除くのが最優先なので、まず病院に行きましょう」
知ってるんですよ。
相手は知っていて、素人を舐めてるんです。
だからね、キツイの承知で、消費者も勉強しないといけない、騙す方が悪いけど、騙されてはいけないって言うんですよ。
おうちに連れてきちゃったらもうかわいくなっちゃうじゃないですか。
その瞬間に、もう自分の子じゃないですか。
物じゃないんだから、不都合があったって「交換してください」って言えないじゃないですか。
命あるものにそんなこと言えないじゃないですか。
誰がかわいそうって、人間の勝手に振り回される動物たちですから、こうゆう相談は腹立たしいですよ。
だからそれこそ素人相手でもわたし手加減しません。
きっついおばさんだと思われるだろうし、悪口言いふらされるだろうし、今後買い物もしてくれないでしょう。
でもこれからおかあさんになろうって人がへにゃへにゃしてたら困ります。
それではわんちゃんが困っちゃうんです。
あの電話の子はその後どうしただろう…、何年たっても思い出すたびに聞いたわたしもさいなまれます。
わたしね、ほとんどのことは取り返しがつくと思っています。
再チャレンジができると思っています。
でもね、命と愛は取り返しがつきません。
相手はぬいぐるみではありません。
覚悟を決めてから始めないといけない、始まったものは腹をくくらなくちゃいけない、そう思うんですよ。
人間は動物たちに迷惑をかけないよう、もっとしっかりしなくてはなりませんね。