ご相談をいただきました。
老犬は踏ん張りが効かなくなり、足がズズズと開いて滑ります。
滑らないように靴下をはかせても脱いでしまうとのことでした。
いつにも増して長文ですがお付き合いいただけると幸いです。
わたしは犬に何かさせるより、まず環境を整えてやることが先だと考えています。
滑る足に靴下を履かせるより、滑らない床にするのが先です。
今回はタイルカーペットをお勧めしました。
老犬はあちこちで粗相をするので、洗えない大きな絨毯を敷きたくないお気持ちはよくわかります。
裏ゴムのキッチンマットなど、いつも徘徊する場所に狙って置くのも良いです。
ふわふわと徘徊するだけでなく、壊れたおもちゃのように一点でクルクル高回転する時があります。
ボケると男性でも止められないほどの力で振り払います。
クルクル高回転は遠心力で転びます。
どうやって止めさせたらいいですか? とのご質問には、なぜ止めないといけないのですか? と質問しました。
高回転が脳に悪い気がするとおっしゃるので、まだ4歳なら治療や手術など考えますが、もう14歳なら好きにさせてあげたらいいのではと伝えました。
脳に悪いというより、すでにお脳が遠くなっているのですから。
転びそうになったら支えてやる、周りにマットを敷くなど環境を整えることをお勧めしました。
やめさせることばかり考えておられたのか、「好きにさせる」にかなり驚かれていました。
14年間もともに過ごし、ボケて徘徊できるまで長く生かせた立派な飼い主さんです。
ご自分とわんちゃんを褒めて、ここまできたら治すだ止めるだ考えず、わんちゃんの好きにさせてあげたらいかがですかと申し伝えました。
痛い、苦しだけは何としてでも止め、ロウソクが細く小さくなるようにしていきましょう。
静かにスッと火を消せたら大成功です!
すごく驚き、そしてすごく勉強になったと喜んでおられました。
10分の電話の前後で、何も状況は変わっていないんですよ。
死に際の話までしましたが、声のトーンが上がり、明るく澄んでいました。
お伝えしたのはわたし個人の考えで正解、不正解ではありません。
ようは気の持ちようです。
悲しく寂しく老後を過ごすか、やったぜ満塁ホームランだ! と最期を迎えるか、好きな方を選択すれば良いと思います。
犬のことだけではなく、親や自分も同じ。
枯れ朽ちるのか?
でっかい花火をぶち上げるのか?
その予行練習をさせてくれる大先生が目の前にいます。
ほんとに感謝です。